【申込受付中】4月21日開催オンライン写真展&報告会「イスラエル・パレスチナ、沈黙を破る人々」
自身のこれまでの活動で得た知見やノウハウを紹介するシリーズ「写真家業」第2回後編の今回は、現在具体的にどの様なマネタイズ(無収益のサービスなどを収益化すること)を実践しているかについてご紹介します。是非ご一読ください。
同じくフリーランスで写真家やフォトジャーナリストとして活動している、もしくはこれからそういった活動をしていきたいと考えている人たちの参考になれば幸いです。
【写真家業】フリーランスの働き方やマネタイズについて考える(前編)
写真撮影
2018年より都内で個人事業主として撮影案件を受けています。プロフィール、家族、七五三、ウェディング、運動会、入学卒業式、ファッションカタログ、企業求人、NPO広報など様々な撮影を行ってきました。最近は、可能な限り自身のスケジュールの融通が効きやすいものだけ受ける様にしています。
基本的には、年間スケジュールが固定されがちな企業案件を減らし、一般のお客さんからの撮影を受ける方向性にしています。そこで数年前から利用しているのがフォトグラファーとお客さんのマッチングサイトであるOurPhotoやfotowaです。主にこれらのサイト経由で七五三を始めとした家族撮影をご依頼頂くことが多いです。
サイトの仕様としては、お客さんが希望日時で検索した時に該当するフォトグラファーが表示され、その中から選んで撮影依頼を出すというものです。自身が撮影可能な日時をスケジュール登録しておいて、海外取材に行く時などはスケジュールを入れなければ良いだけなのでスケジュールコントロールが非常にしやすいです。ただ、プラットフォーム利用料が高額なのがネックではあります。
あと、コロナ禍が収束したい今、円安の影響もあり日本への外国人観光客が非常に多いのでインバウンド撮影をやってみるのも良いかもしれません。継続的な需要と高単価が見込めるかもしれません。自分はまだ試してはいませんが。
ニュースレター
ニュースレター配信サイトSubstackを利用して、自身の海外取材に関する情報を随時配信しています。「なぜSNS全盛期の今ニュースレター?」と思われる方もいるかもしれませんが、だからこそニュースレターを使っています。
SNSは各プラットフォームのアルゴリズによって発信した情報がリーチし難くなったり、内容によってはBANされたりします。個人的にビックテック企業により情報が恣意的にコントロールされることを良いとは思わないので、情報が各人のメールボックスに直接届き、検閲され難いニュースレターという形の情報発信に集約していきたいと思っています。
何より、タイムライン上に膨大な情報が流れ去っていくSNSより、メールで直接届く情報の方がよりしっかり読んでもらえて、自身の活動についてもより理解してもらえるのではないかと勝手に思っています。実際アメリカでは検閲が多い大手メディアを離れ、Substackで独自にニュースレターを配信して生計を立てているジャーナリストが増えているという話も聞きます。
Substackには有料サブスク機能があり、有料購読者のみが見られるコンテンツの作成が可能です。それを生かして有料購読者を増やしていき、将来的には継続的な活動を行うための収益の柱にしたいと考えています。ちなみに自分の場合は、有料サブスクは月額5ドル(年額50ドル)に設定しています。高額を少人数から頂くというよりは、手軽な金額で広く多くの方に応援して頂けたらを思いこの金額設定にしています。
正直、無料と有料で配信する情報の線引きが難しいのですが、個人的にはなるべく情報の囲い込みにならない様に気をつけています。そのため無料登録でも大抵の情報にはアクセスできる様にしていて、有料登録だとオンライン報告会に無料で参加できたり、電子書籍を無料でダウンロードできたりなど付加価値を付ける形にしています。
オンライン報告会
昨年から定期的にオンラインイベントも開催しています。写真展などリアルでのイベントだと非常に経費や労力がかかり頻繁に開催できず、遠方の方がなかなか参加できないという問題があります。まだ始めたばかりで各回参加者は少ないですが、取材活動について世界各地の人に直接話したり交流したりする機会にもなるので、自分のことや活動をより深く知ってもらう上では効果的です。
経費はZoomプロアカウントの月額利用料(約2300円)くらいのものなので気軽に始められます。集客はイベント投稿サイトのPeatixを利用しています。多少手数料は発生しますが、イベントの参加申込や参加者へのZoomリンクの送信などを自動でやってもらえるので漏れが無く手間もかからず便利です。
基本的に各回の参加費を500円に設定しているので、参加者が5〜6人集まれば経費は回収できます。今後はもっと多くの方にご参加頂ける様なものを企画して、さらなる収益化もしていきたいと思っています。自分が話す以外にもゲストを招いたコラボ企画も検討しています。
電子書籍
これまでオンラインメディアに掲載したり、ニュースレターで配信した記事をまとめた電子書籍をKindleストアにて出版しています。文章を書くのが好きな方には電子書籍の出版はお勧めです。出版社から本を出した方が箔はつきますがハードルは非常に高いです。電子書籍であればAmazonのアカウントさえあれば、誰でも無料で電子書籍やペーパーバック(書籍版)を出版することができます。
後は売れれば売れただけ自動で収益が得られるのも魅力です。これまで発信してきた情報を一冊の本にまとめることで、自分が行った取材を改めて振り返る機会にもなりますし、これまでと違った層の人にリーチすることもできます。また電子書籍ではなく通常の書籍で読むことを好まれる方も多いので、写真展などのイベントに併せて何部か製本して会場で販売するのも効果的です。
前回都内で開催したイエメン展では、ブックホンで製本したイエメン短編ルポも展示販売しました。Kindleストアで販売している自身の電子書籍のペーパーバックを購入して転売するより安価に抑えられます。また、製本した書籍を仕事に繋がりそうな方と出逢ったら名刺変わりに渡してみるのも良いかもしれません。
写真関連物販
写真展の開催に併せて、自身が撮影した写真を使ったポストカードなどを作成し会場やホームページ上で販売しています。広報媒体としての役割もあるのでお勧めです。ただ、作り過ぎると在庫を抱えるリスクもあるのでその辺りを気をつける必要性はあります。自分の場合、ホームページ上で売れることはあまり無いので、何らかのイベントに併せて直接物販することが多いです。
他にも写真集やプリント写真、イエメンコーヒードリップバックの販売なども行っていましたが、売れ行きやコスパが悪かったり、自身の写真家というコンセプトから外れてしまうものはひとまず止めています。今後は購入後の波及効果が見込める様なものを作りたいと考えています。
ストックフォト
主に取材先で撮影した風景や食事などの写真をストックフォトサイト(PIXTA・Shutterlstock・Adobe Stock)にアップロードして販売しています。写真家やフォトジャーナリストであれば膨大な写真がパソコンやハードディスクに眠っているかと思います。それをそのままにしておくのは非常に勿体無い。単価が低めでサイトへのアップロード作業がやや手間ではあるのですが、隙間時間で作業ができるのでやっておいて損はないかなと思います。
ストックフォトは、複数のサイトに写真をアップロードして販売機会を増やすのが定石ですが、中でもお勧めなのはAdobe Stockです。こちらは販売素材の年間ダウンロード数が一定要件を満たすとLightroomを始めAbobe製品を一年間無料で利用できる様になるとのこと(最近要件を達成しました)。撮影の仕事を主に行っている人ならこのサイトは利用した方が良いと思います。ちなみに個人的にはこのサイトでの収益が一番大きいです。
インデックス投資
インデックス投資はいくつかある投資の中でも、少額かつ低コストで始められる無難な投資になります。たくさんの銘柄の株を広く薄く買うので暴落するリスクは非常に低いと思います。
ただ、これは長期投資で複利により利益を得るものなので短期的にまとまった収益を得ることは難しいです。将来的な資産形成の一環としてやっておくと良いかもしれません。自分の場合は、楽天証券の楽天・全米株式インデックス・ファンドというものに毎月無理のない範囲で積み立て投資をしています。
今回、現在自身が実践しているマネタイズについてご紹介しましたが、各人合う合わないがあるかと思います。あくまで一例としてご参考いただけますと幸いです。