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自身のこれまでの活動で得た知見やノウハウを紹介するシリーズ「写真家業」の第2回は働き方やマネタイズについてです。特にフリーランスで活動している人にとって避けては通れない生活や活動のためのマネタイズ(無収益のサービスなどを収益化すること)。自分自身、2018年よりフリーランスで活動を初めて以来、マネタイズについて頭を悩ませない日は無いです。
現状、自身が思い描く理想の働き方からは程遠いのですが、日々試行錯誤しながら少しでもそこに近づける様に努めています。そこで今回、自身の将来的な活動ビジョンを紹介しながら現在行っているマネタイズの方法などについて皆さんにご紹介したいと思います。
同じくフリーランスで写真家やフォトジャーナリストとして活動している、もしくはこれからそういった活動をしていきたいと考えている人たちの参考になれば幸いです。
【写真家業】フリーランスの働き方やマネタイズについて考える(後編)
写真家としてどの様に活動していきたいのか
まず、自分自身がこれからどういった活動を行なっていきたいのかについて再考し明確化することが大切です。目的地がはっきりしていないとまず持ってどこに向かって進めば良いかわかりません。ここでは一例として、自身の将来的な活動ビジョンを紹介させて頂きます。
自身が写真家として取材テーマに掲げているのが「戦争」になります。ここで言う戦争は特定の国や地域に限定するものでは無いので取材対象は世界各地と広範囲なものになります。将来的にはより持続的に世界各地で現地取材を行える状態にしたいと考えています。
そうなると、世界各地を自由に行き来できるだけの時間的余裕や資金力が必要になってきます。これらは不労所得を十分得られるお金持ちにとっては全く問題にならないことですが、自分の様なジリ貧フリーランスではそうもいきません。働き方を工夫・改革して、いかに時間と収入の両方を確保するかが根源的な課題になります。
現在の働き方を見直しマネタイズを考える
まず「働き方」について考えると世の中には大きく分けて4つのタイプがあります。
組織に雇われて働く会社員やアルバイト
自身の技術やサービスを提供する個人事業主
従業員を雇い組織を運営する経営者
資産を運用して利益を得る投資家
一般的に馴染みがあるのは1と2の働き方ではないでしょうか。自身の場合は現在2の個人事業主として働いています。3と4は経験値が無いのでここでは割愛します。
個人的に活動をする上で重要視している「時間と収入のバランス」から見ていくと、まず1の場合、基本的に毎週決まった曜日に働く必要があり、時間やスケジュールの融通を利かせることは極めて難しいです。その分安定的な収入は得られますが海外取材に長期で出る時間は確保できません。
また仮に十分な時間を確保できる労働条件であったとしても、所属している組織の規則に縛られてしまう可能性が高く、自由に取材活動を行うことができないかもしれません。
比較的自由が利くと思われる2の場合でも、定期的に固定案件が入ってくるクライアントワークを主に受けていると1とあまり変わらない状況に陥ってしまいます。リモートワークが可能な仕事であれば海外取材の合間に現地で働いて稼ぐことができるので融通が利くかもしれません。
ただ個人的には、海外などで取材活動を行なう合間に別でリモートの仕事をするのは、頭の切り替えやその為の時間確保が結構ストレスになった経験があるので難しそうです。結局一番良いのは、自身の活動そのものをマネタイズしていくことかと思います。
自身の活動をマネタイズするには
フリーランスで写真家やフォトジャーナリストとして活動している人であれば誰しも、自身が行なっている活動で収入を得たいと考えているのではないでしょうか。ただ多く場合、それを生活できるレベルで達成することは非常に難しいです。自分自身、いかにしてそこに近づけるか試行錯誤しています。
写真家やフォトジャーナリストが行う一般的なマネタイズとして考えられるのは、撮影した写真や動画、執筆した記事などを大手メディアや出版社に売り込み、買ってもらうことで収益を得る方法です。
しかしこの場合、その都度営業活動を必要とし、自身が獲得した素材や情報が必ずしも売れるとは限らない不確実性は常について回ります。また、大手メディアや出版社に売り込むためには、それら組織が求める情報を獲得し提供する必要性も生まれます。独自のテーマや視点で取材をするためにフリーランスであることを選択したにも関わらず、組織の意向に沿った取材をするのでは本末転倒です。
自分自身、素材をメディアに売り込むというよりは、自分自身がひとつの独立したメディアになっていくという方向性で現在活動を行なっています。既に世界的にその様な潮流にある様な気はしますが。
あくまで自身が取り組む活動や発信する情報そのものに価値が付き、それがお金として還元される様な仕組みづくりをしていくことが、将来的に持続的に活動していく上で大切なのではないでしょうか。
そこで重要になってくるのは「人に関心を持ってもらうこと」です。至極当たり前のことですが、いかに自分の個性を打ち出すことができるかだと思います。自分がどういった人間でどの様なテーマをどの様な視点で取材発信しているのか。それらが明確化されていないと人から関心を持ってもらうことは難しい様に感じます。
自分の個性が明確化されていれば、関心を持ってくれる人の数に差はあれど、誰かしらは自身の活動に関心を持ち、応援してくれたりファンになってくれたりするのではないでしょうか。要するに自分のファンになってくれる人を増やしていくことが将来的に自身の活動をマネタイズしていく上で要となってきます。
一般化されている価値観に基づいた取材活動から逸脱して、自身の持つ価値観に基づいてそこを掘り下げていくことで、社会の中で表面化していない潜在的な価値を創出することができるかもしれません。そうすることで情報発信の多様性も担保される様な気もしています。
フロー型からストック型ビジネスへの移行
前章では精神論的な話になってしまいましたが、ここからは実践的な話をしたいと思います。自身の活動をマネタイズして持続的に活動できる仕組みを作ることを推奨していますが、そう簡単に理想的な状態に移行できるものでもありません。当面何らかの手段で、生活や活動のためのお金を稼ぐ必要があります。
現在の働き方を工夫してライフワークバランスを整え、活動やマネタイズの仕組みづくりの為の時間や労力を確保していくことから始めましょう。ここではフロー型ビジネスとストック型ビジネスについて説明します。自分の場合はこれらの働き方の組み合わせでライフワークバランスを調整しています。
以下で自身の活動が十分収益化できておらず、活動のために別で収入を得る必要がある場合の話をします。
フロー型ビジネスの高収益化について
まずフロー型ビジネスについてですが、これは自身の労働や時間に対して対価が支払われるビジネスモデルで、短期的にある程度まとまった収益が見込めるメリットがある一方、都度労働の為に時間を割かなければならないデメリットがあります。
そこで、アルバイトであれば時給や日給を上げる、フリーランスであればギャラ単価を上げる工夫が必要になります。時間や一件あたりの収益が上がれば、その分労働に割く時間を削減し活動のために時間を使うことができます。方法としては、アルバイトであればより高時給の仕事に転職する、フリーランスであれば自身が提供するサービスに付加価値をつけて単価を上げるなど方法はいくらかあります。そう簡単ではありませんが。
ここでは「労働=デメリット」の様な言い方になってしまっていますが、これはあくまで自身の活動のためにいかにして時間とお金を確保するかという観点から論じていることなのでご了承ください。労働は大切な社会活動ですし、そこから自身の活動にフィードバックできる価値はもちろんあります。
ストック型ビジネスへの移行について
これは現在自身が取り組んでいる手法になります。自身の活動により得られた情報や知見をコンテンツ化しネット上などにストックしています。コンテンツ作成のために労力や時間を必要とはしますが、一度作ってしまえばそれらが自動的かつ継続的に収益を生み出してくれます。例えば、ブログやYouTubeの広告収入、ニュースレターのサブスク収入などがそれに当たります。
ただ、ある程度の収益を生み出せる様になるまでに膨大な時間を要するのがデメリットで、そこに至るまでに非常に根気を要します。流石にこれだけに注力してしまうと、収益化できるまでに自身の生活や活動が立ち行かなくなってしまうので、初めはフロー型ビジネスと並行して行うのがベターです。
次第にストック型ビジネスが軌道に乗ってきたらフロー型ビジネスの割合を減らしていけば、最終的に自身の活動時間を十分確保しながら継続的な収益を得られる様になります。その状態を確立できれば、自己資金を使って独立した立場で忖度なしに活動できる様になるので個人的には理想型です。
細々と説明しましたが、多くの場合で上記いずれかのビジネスモデルもしくは組み合わせで活動している人が大半かと思います。重要なことは、現在自分自身がどの様な働き方をしているのか、現状それで問題ないのか、それとも自身の活動をより活性化させるために働き方を改善していく必要性があるのかを明確に認知することです。
次回、具体的にどの様なマネタイズを行なっているのかについてご紹介します。