*イスラエル・パレスチナ取材日記一覧
現在、再びイスラエル・パレスチナに現地取材に来ています。前回は2023年12月末から2024年2月頭までの約1ヶ月半滞在していたのでちょうど一年ぶりになります。今年1月22日にヨルダンからエルサレムに渡り、ヨルダン川西岸地区の南ヘブロンに2週間程滞在した後、今はイスラエルの商業都市テルアビブに滞在しています。
2023年10月7日、ハマスによるイスラエル国内への奇襲攻撃で約1200人の市民が殺害され、251人が人質となりました。その後、イスラエル軍の報復攻撃によりガザ地区におけるパレスチナ人の死者は45000人を超え、約230万人が土地を追われている状況です。
そんな中、今年1月15日にイスラエルとハマスがガザ地区での停戦に合意し1月19日より発効。停戦合意は3段階に分かれいて、イスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ囚人の解放とハマスの人質となっている市民の解放。イスラエル軍のガザ地区からの撤退と復興。パレスチナ市民の帰還などが実施及び協議されています。
そして1月20日からは第2次トランプ政権も始まり、2月4日にはトランプ大統領の「アメリカによるガザ地区の所有」発言が国際的に波紋を呼んでいます。



10月7日以降、イスラエルとパレスチナ双方の憎悪や分断が先鋭化し中東情勢が大きく動いている中、自分はというと今回も平和構築に取り組んでいるイスラエル人にフォーカスして取材を行っています。前回のイスラエル・パレスチナ現地取材の記事一覧はこちらよりご覧ください。
昨年、ヨルダン川西岸地区の南ヘブロンのエリアC(イスラエル軍が行政と治安を管理する)と呼ばれる地域に足を運ぶ機会があり、そこで過激なイスラエル人入植者による嫌がらせや暴力から現地のパレスチナ人を守る活動を行っているイスラエル人達に会いました。
その時、自分も彼らの活動に同行して一緒にパレスチナ人宅にホームステイする等していました。彼らがイスラエル人という立場を生かしてパレスチナ人と共にいることで入植者のハラスメントを抑止しようとする活動はProtective Presenceと呼ばれ、90年代後半の第2次インティファーダ(パレスチナ人蜂起)頃からこの地で実施されるようになりました。
彼らはイスラエルがパレスチナに対して行っている占領政策や人権侵害に対して問題意識を持ち活動しているわけですが、イスラエル社会の中においては少数派です。そうした人達がテルアビブやエルサレムから足繁く南ヘブロンに足を運んで活動している姿が個人的に非常に印象に残り、再び取材したいと思ったわけです。
今回は南ヘブロンで暮らすパレスチナ人の方にお世話になりながら滞在し現地のコミュニティにも馴染むことができました。滞在中は現地のパレスチナ人が置かれている状況やイスラエル人とパレスチナ人が共に活動する様子を取材することができ、思いがけず入植地で暮らす方と繋がることができ話を聞くこともできました。ただ残念ながらエリアCの状況は昨年よりも悪化していました。
ちなみに南ヘブロンが題材となっているドキュメンタリー映画「No Other Land」がオスカーにノミネートされ、2月21日から日本でも全国ロードショーが始まります。現地でお世話になった方々も映画に出てくるので自分も帰国したら見にいこうと思います。ご興味ありましたら是非映画館に足を運んでください。
今回、南ヘブロンのことに関して書くことが多過ぎるので、今後随時配信していきたいと思います。併せてイスラエル側の様子などについても配信します。それにしても、相変わらず現地の物価が高すぎて来月以降のクレジット引き落とし額に戦々恐々としているのですが、引き続き節約しながら取材の方続けていこうと思います。